「平和」という木に 「教育」という水を

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香川大学教育学部附属坂出中学校 若林教裕

香川大学教育学部附属坂出中学校 若林教裕

変数制御を考えさせながら水圧の概念を構築する教材と指導展開の工夫

Improving the Methods and Materials to Teach the Concept of Water Pressure

第54回下中科学研究助成金取得者研究発表より

<h1>変数制御を考えさせながら水圧の概念を構築する教材と指導展開の工夫</h1>

水圧に関係するのは、水量? 深さ? それとも底面積? まずは水量が同じだけど深さの違う水槽、つぎに深さが同じで水量の違う水槽をくらべて……。同じ部分はどこで、違うのはどこなのか? という「変数制御」を意識しながら行うロジカルな実験を通し、中学生たちが漠然ともっていた水圧のイメージが、授業の前と後でがらりと変わりました。


1.はじめに

現行の中学校学習指導要領では、科学的知識の充実とともに、探求する能力の基礎や態度の育成が強く謳われている。しかし現実には、多くの教員自身が探究的な実験を学生時代に行った経験をもたず、生徒にどのように探究する能力を身につけたらよいのか、その指導方法が十分にない。またふだんの授業でも、時間的な制約や学習指導要領に定められた科学的な知識・概念・法則などの内容の指導に教員が追われている。従って、科学的な探究とはどのようなものであるかということはもちろん、科学では、原因側と結果側の「変数」の関係に着目することや、変数同士の関係を調べるために複数の変数を適切に制御したり、得られたデータから関係する要因を吟味したりすることに焦点を当てた指導はあまり行われてない。現に、平成27年度に実施された全国学力学習状況調査の結果を見ても、実験や観察を計画する「構想」に関する問題の正答率が、前回に引き続き非常に低いことが明らかにされている。上記調査の結果をまとめた「平成27年度全国学力・学習状況調査報告書」(国立教育政策研究所)p70の<分析結果と課題>の1行目に正答率30.4%と記述されている。

このような現状を顧みると、探究する能力の基礎や態度の育成に焦点を当てた教材と指導の具体的な手立てが必要なのではないかと考えられる。

そこで、本研究では、探求する能力の基礎や態度として「自然現象の中の変数に注目し、変数制御をしながら要因側の変数と結果側の変数の関係を明らかにすること」と「実験結果から根拠を示して報告することが重要であること」の2点を重視して、中学校1年生の「水圧」の分野において、その教材と指導の手立てを報告することにした。なお、「水圧」に着目した理由は下記の3点である。

・水圧の大きさは、水深のみが関係すると考えている生徒が多くないこと
・生徒が水圧の大きさに関係すると考えている要因を把握することで、変数制御を意識しながら実験計画ができる指導展開が可能であること
・水圧と浮力を混同している生徒が多く、浮力の概念形成にも影響を与えていること


※全文はこちらからPDFにて閲覧いただけます。

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