北海道湧別高等学校 上田浩人
高校生が開くシングルエイジサイエンス教室による地域貢献
Volunteer High School Students Teaching Science to Young Children
第54回下中科学研究助成金取得者研究発表より
幼稚園から小学校低学年の子どもを対象にした理科教育「シングルエイジサイエンス」。これは北海道の高校生たちが、専門家からその指導法やコツを教えてもらい、最後に夏休みの理科教室を開催するまでの記録です。ゴムのおもちゃなどを使った楽しい授業を通し、高校生も科学の大切さを学び、小さな子どもに教える楽しさ、社会貢献の喜びを経験します。
1.はじめに
現在の日本において、「理科」の授業は幼稚園・保育園から小学校低学年までの間、行われていない。近代化による子ども遊びの電子化や開発における都市部の自然減少、理科嫌いな教師の増加に伴う実験離れ等の影響により、子どもたちの自然体験活動は減少していると考えられる。シングルエイジ(9歳以下)時代は、脳の成長が著しい時期である。この時期に、自然体験活動を含む理科的体験活動を保証する仕組みが必要である。
昨年度、私が代表を務める教育サークルにて、地域の子どもを対象にした《休日子ども理科教室》を5回開催した。参加した幼稚園児・小学生や保護者延べ138名のうち、96%がアンケートにて、「また参加したい」と答えている。
休日教室を開催する際、勤務校の保育士や教師を希望する生徒、理科実験が好きな生徒、ボランティア同好会の生徒にスタッフとして参加してもらった。参加した高校生は、継続的な開催、講師として開催することに対し、意欲的であった。
高校生が子ども向け理科教室を開催することで、地域の子どもたちに継続的に科学的体験を保証することができる。また、講師や事務局を務める高校生の職業感の育成、社会貢献の素晴らしさを体験させる機会となると考え、この企画を考え、実行した。