学校法人 大阪学園大阪高等学校 谷脇鉄平
環境DNAを利用した仏生寺川・万尾川水系河川の生物相調査及び生物保全の実践活動
Environmental DNA
第58回下中科学研究助成金取得者研究発表より
この研究活動を通じて希少種の保護活動を目的として、採水時にその採水域周辺のゴミ回収・清掃といった「環境保全活動」や、市民への啓発といった「環境教育活動」にも積極的に取り組みながら、客観的な外部評価を得るために発表会(大阪府学生科学賞等)にも参加し、高校生らしい研究活動を行ってきた。
1.研究背景
環境問題は21世紀に解決すべき地球規模の危機的課題とされており、次世代の人材育成においても環境問題に関する教育は、重要な項目の一つである。事実、SDGs(持続可能な開発目標)が国連サミットで採択され、2030年までの国際目標とされている。しかし、昨今の子どもたちを取り巻く受験環境では、進学のための勉強に偏りがちとなり、自然と触れ合う体験が少ないことや、理科及び環境教育で重要な実験授業やフィールドワーク活動が困難であることも事実として存在している。
本校科学探究部は、2017年10月から京都産業大学生命科学部先端生命科学科高橋純一准教授と共同研究(高大接続)を行い、環境DNA分析を利用して四季における淀川に生息するイタセンパラ等の希少種の生物相(魚種)を調査するため、これまで「環境調査活動(網羅的調査)」を行ってきた。
また、この研究活動を通じて希少種の保護活動を目的として、採水時にその採水域周辺のゴミ回収・清掃といった「環境保全活動」や、市民への啓発といった「環境教育活動」にも積極的に取り組みながら、客観的な外部評価を得るために発表会(大阪府学生科学賞等)にも参加し、高校生らしい研究活動を行ってきた。
当時、大阪府下の学校教育機関での環境DNA分析を利用した研究活動の前例はなく、2018年第1回環境DNA学会で科学探究部がポスター発表した際、SSH指定校ではない学力中間層の本校におけるクラブ活動を通じた教育・研究実践が「高校生らしい活動」として評価していただいた。
この実績は、文部科学省の「高大接続改革」や経済産業省が開発・実証を進めている「未来の教室」にも関連し、生徒たちにワクワク感を抱かせる「学びの実体験」を提供できた。