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大阪産業大学 大阪桐蔭高等学校 中島哲人

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鉛フリーのペロブスカイト型太陽電池の研究

Perovskite Solar Cell

第57回下中科学研究助成金取得者研究発表より

<h1>鉛フリーのペロブスカイト型太陽電池の研究</h1>

高校の化学基礎・化学の酸化還元の単元における電池の教材として、今話題のペロブスカイト型太陽電池を取り上げることは、生徒の興味を引き付けることができ、大変有意義である。


1.はじめに

2009年に桐蔭横浜大学の宮坂力教授が開発したペロブスカイト型太陽電池が世界中から注目されている。普段生活で利用されている太陽電池には様々な問題がある。例えば、シリコン型太陽電池は高価であり、色素増感型太陽電池は液漏れするなどの問題がある。

ペロブスカイト型太陽電池は、薄い膜を使うため単位面積当たりのコストが安い上、シリコン型太陽電池に迫る16%を超える効率を得られている。ただし、ヨウ化鉛とヨウ化メチルアンモニウムからメチルアンモニウムヨウ化鉛のペロブスイカイト層を使うため、鉛の毒性に問題がある。この毒性の問題を解決する必要があり、鉛フリーのスズ型のペロブスカイト太陽電池の研究が重要である。

ペロブスカイト層で生成した正孔と電子を分離するために使われている正孔輸送層として、主に、p型の有機半導体であるSpiro-MeOTAD[2,2′,7,7′-テトラキス(N,N-ジ-p-メトキシフェニルアミノ)-9,9′-スピロビフルオレン]が使用されている。ただし、この試薬は高価なので、もっと安価なp-型半導体の材料の使用が望まれる。p-型の有機半導体として、もっと安価な金属フタロシアニン(金属としては銅、亜鉛、塩化アルミニウム、鉄)や、ルブレンなどの材料を使うことができるか、その場合に得られる電流や電圧に問題がないか検討することが重要である。

ペロブスカイト型太陽電池が起電力をもつ原理は、表面積の大きなメソポーラスTiO2層を用いてペロブスカイト光吸収体の体積を増やし、光による電子励起を増やす。光生成された電子はメソポーラスTiO2層に注入され、最終的に集電体の電極に達する。一方で、正孔はSpiro-MeOTADや銅フタロシアニンに移動し正極金属のAuに到達することで、起電力を生じる。

高校の化学基礎・化学の酸化還元の単元における電池の教材として、今話題のペロブスカイト型太陽電池を取り上げることは、生徒の興味を引き付けることができ、大変有意義である。さらに高校の部活動の課題研究として、ペロブスカイト太陽電池の作製に取り組むことは、生徒の研究心を育てることができ、非常に重要である。

本研究目的は、ペロブスカイト型太陽電池の問題点(鉛の問題、高価な正孔輸送層など)の解決に向けて、高校の課題研究として取り組み、高校の化学の教材として提供することにある。

※全文はこちらからPDFにて閲覧いただけます。

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