宮崎県立宮崎北高等学校 河野健太
高校生への星食観測指導と天文学への貢献
Stellar occultation
第58回下中科学研究助成金取得者研究発表より
本研究の目的は、高等学校の探究活動で星食観測を取り扱い、正確な観測結果を取得・報告させ学術的にも満足できる活動を開発することである。また、自作の機材による観測と、自作プログラムによる光度解析を行うことにより天文学への理解を深める。
1.研究の目的
(1)教育現場における天文活動
高等学校理科の教育現場では、地学分野に関する教育が十分であるとは言い難い。特に天文学においては、指導者も少なく夜間活動が多いため深く学ぶことは希である。
しかし、天文学において、天体の運動解析を学習する際には物理学の知識が応用できる。星座などの天球上の移動に代表される「地球から見た天体の動き」と、万有引力の計算に代表される「宇宙から見た天体の動き」など視点や考え方の切り替えも必要となり、学習活動の題材としては大変魅力的である。授業で扱うことが難しくても、探究活動の題材としては大変有効であると考える。
全国的に高校で取り組まれている天文活動としては、観望会の他に太陽観測、月面観測、流星観測などが一般的である。しかし、これらの活動では観察にとどまり、新たな知見を得て天文学に貢献することは難しい。
また、高校生の天文活動支援として「高校生天体観測ネットワーク(Astro-HS)」があるが、今年度は解散することが決まっており、活動は行われていない。
(2)宮崎北高校科学部地学班
令和2年度現在、宮崎北高校科学部には40名が在籍し、そのうち7名が地学班として天体の研究を行っている。
彼らは定期的な星空観望会や、流星観測、太陽観測なども行っている。現在は2年生4名が星食を主な研究テーマとして取り組んでいる。
(3)高校生による天文学への貢献
以上のことから本研究の目的は、高等学校の探究活動で星食観測を取り扱い、正確な観測結果を取得・報告させ学術的にも満足できる活動を開発することである。
また、自作の機材による観測と、自作プログラムによる光度解析を行うことにより天文学への理解を深める。