「平和」という木に 「教育」という水を

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上田市教育委員会 宮本由美子

上田市教育委員会 宮本由美子

小学校英語授業におけるTeacher Talkの分析 ─ 児童の理解を支援するための手立てに関する考察 ─

Teacher Talk

第57回下中科学研究助成金取得者研究発表より

<h1>小学校英語授業におけるTeacher Talkの分析 ─ 児童の理解を支援するための手立てに関する考察 ─</h1>

本研究の目的は、HRTとALTとの協働授業において指導者が児童への語りかけにどのようなTeacher Talk(英語および日本語)が使用されているか分析し、加えて、5・6年児童に対し、日本人教員(HRTと英語専科教員)及びALTで1学期間に行ってきた、授業における教師の使用する英語(Teacher Talk)についての理解の度合いや感想について質問紙調査を行い、児童の理解を促すに有効と思われる。


1.はじめに

2020年度から完全実施される新学習指導要領(新CS)を踏まえ、全国の多くの小学校では昨年度より移行措置の取り組みが進められている。新CSでは、現行の小学校外国語活動を中学年に移行し、高学年において教科「外国語」が新設される。新CS改訂の背景には、未来を生きる子どもたちが、グローバル社会の進展に伴い、異文化や多様な価値観、AI(人工知能)などの先進技術を取り入れ、予測不可能な課題を国内外において、他者と共生、対話しながら解決していく力が、身に付けるべき資質・能力として求められている。

しかしながら、これまでの外国語(英語)教育の現状や成果はどうだろうか。学校教育における外国語教育は、実社会で使えるものとなっていないと指摘されて久しい。

「わが国の英語教育においては30年以上も前から中高の学習指導要領では、『コミュニケーション能力の育成』がうたわれてきたにも関わらず、長い間、一定の順序に従った文法項目、発音、文字など正確に学んだ後に、英語を使う練習をしようとすることに主眼が置かれた(study English)期間が長かった。そのため、対人的なコミュニケーションのニーズに応じた学びや、英語教育の目標であるコミュニケーション能力の育成は軽視されてきた傾向は否めない。また、英語の授業に多くの時間とエネルギーが費やされてきたが、英語を使う(use English)という点で失敗に終わり、教員自身の英語指導力が十分でなかったことも要因で思わしい効果は得られていない。(下線筆者)」(小諸市教育委員会 2017)。

2011年の高学年における外国語活動の必修化以降、主たる指導者である小学校の多くの学級担任(HRT)は、自身の英語力や指導力に不安を感じる一方で、相当の割合で外国語指導助手(ALT)に授業を任せている状況が報告されている。領域とはいえ授業としての外国語活動を「教科ではない」「段階別評価の対象外」と受け止める傾向に、教師の多忙さも相まって、先行実施(移行措置)が始まる以前は、英語授業への取り組みに学校差、学年差、個人差が見られた。

小学校HRTの抱える英語力・指導力への不安は10年以上前から指摘されてきたにもかかわらず、CS完全実施まで残り半年を迎える現在も、残念ながら未解決のままである。それでは条件整備として、ALTの増員や専科教員の加配措置で現場の問題が解決されるかと言えば、答えは否である(狩野 2017)。文部科学省(2018)は「HRTの専門性を高め、ALTや専科教員を活用する」という立場を基本としている理由は、他教科と同様、英語教育も小学校の全人教育の視点で子どもの発達を支援するねらいから、HRT主導の授業がのぞましいとしている。

ALT及び専科教員は言語教師としての指導には多くの期待が寄せられる一方で、学級を集団として指導する力や児童の発達段階に応じた指導では課題があるという報告がある(町田・高橋・黒川 2017)。加えて、日本のみならず、他のアジア諸国や東欧において早期英語教育の需要が高まる中、現在小学校英語教育を専門とする教員は不足しており、40人以上の過大クラスサイズ、学校の教育課程との関連付けがないまま英語が導入されている拙速性が指摘されている(Shin & Crandall 2014)。

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