
長野県下伊那農業高等学校 腰原 裕一
UECSを利用した環境制御温室教材の製作と、スマート農業分野への授業展開の研究
Smart Agriculture
第59回下中科学研究助成金取得者研究発表より

労働力を補い、農業を発展させていくためには、ICTやIoTを利用して効率化と省力化を推し進める必要がある。そのために、農業高校生がICTやIoTを利用した『スマート農業』に触れ、労働力を技術で補うことを学び、『スマート農業』を実践していく授業を農業高校は研究、実践していくことが求められている。
1.はじめに
日本の農業は就農者の高齢化と新規就農者数の低迷により、多くの課題を抱えている。農林水産省統計部の農林業センサスによると、農業従事者の平均年齢が2020年の概数値で67.8歳である。このままでは、日本の農業の担い手が大幅に減少し、耕作放棄地が多くなり、農村では今までの生態系が維持できなくなってしまう。
これらの課題を解決するために、情報通信技術(ICT)やモノのインターネット(IoT)を利用した『スマート農業』への取り組みが始まっている。労働力を補い、農業を発展させていくためには、ICTやIoTを利用して効率化と省力化を推し進める必要がある。そのために、農業高校生がICTやIoTを利用した『スマート農業』に触れ、労働力を技術で補うことを学び、『スマート農業』を実践していく授業を農業高校は研究、実践していくことが求められている。
本研究では、ユビキタス環境制御システム(UECS)を利用した環境制御温室教材の製作に取り組んでいる。これは、園芸用ハウスに温度・湿度・二酸化炭素・日射量などのセンサ類や換気扇、ヒーター等のアクチュエータ類を設置し、分散したコンピュータがネットワークを介して制御を行うシステムである。今までのコンピュータ1台による中央集中管理システムとは異なり、規模の小さい園芸用ハウスでも、コストを抑えて収益が上がるように設計されたシステムである。中山間地域では、大規模な農業が展開できないため、UECSのようなシステムを利用することで収益を得られる農業ができると考える。
本研究では、このようなスマート農業に取り組む人材を育てるために必要な、教材の製作や授業の展開を試みる。