「平和」という木に 「教育」という水を

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京都明徳高等学校 教諭 田上 智之

京都明徳高等学校 教諭 田上 智之

生徒の興味・関心を促す高等学校物理授業の導入時における授業展開に関する研究

Physics Class

第60回下中科学研究助成金取得者研究発表より

<h1>生徒の興味・関心を促す高等学校物理授業の導入時における授業展開に関する研究</h1>

私は本校の理科授業の「近々の」課題として、①生徒の学習意欲を刺激することを目指す授業展開の工夫および支援、②生徒の論理的な思考の育成を支援する学習活動の導入、の2点を設定した。まず、私が担当する物理で試行し、徐々に理科の他科目へと広げていく計画とした。


1.研究の背景および目的

山崎らが2006年および2009年に関東および関西の大学新入生(2006年が約2,500名、2009年が約3,800名)を対象に当時の物理Ⅰおよび物理Ⅱの検定教科書に掲載されている実験の実施状況を調査したところ、1度も生徒実験を体験していない生徒が約20%程度おり、生徒実験の経験が1〜5回、6〜10回の経験と解答した生徒が合計60%ほど、15回以上経験している生徒が計20%ほどいること、演示実験も同様の傾向が見られることが報告された。生徒実験および演示実験について、数多く実施している学校とそうでない学校との間に大きな差があることを指摘している。また、論文でも触れられているが「平成20年度高等学校理科教員実態調査」によると、教員が実験を行えていない要因として回答が多いものとして①授業時間の不足、②大学入試の対応、③設備備品の不足、④準備片付けの時間不足の4つが挙げられている。この問題は教員不足が叫ばれている現在、より顕著になっていると予想される。また、特に文系に力を入れている学校の多くでは①③④の問題はより根強く残っているであろう。本校でも文系科目での受験が主力となり、理系生徒の「理系科目を使っての」受験数は非常に少なく、大学入試の対応はそこまで負担ではないが、実験助手が在籍しておらず「予備実験から器具調整(試薬調整)、準備、授業、片付け」までを担当教員が1人で全て行っており、担当する全てのクラスで安定的に実験を行うには、かなりの負担を強いている現状である。これは一部の教員の意識や熱意だけでなんとかなるような問題ではないように思えてならない。

以上のように実験等に対する課題がある中、私は根本に「学習意欲」があっての「実験による探究的な学習」と考える。学習指導要領の中でも触れられているが、日本の子どもたちの現状として、理科(科学)の学力面ではOECD各国の中でも平均点はトップクラスにある一方で、「理科への興味・関心」は他国よりもかなり低く、中学校段階の生徒ではより顕著である。また、本校生徒たちの特徴でもあるのだが、「論理的な思考」を苦手とし、「なぜ、そうなるのか」ではなく、物理の学習=「解法の暗記作業」となっている生徒が非常に多い。それゆえ、少し設問の内容が変わったり、数値が変わってしまったりすると途端に対応できず、「物理嫌い」を生む負のスパイラルに感じている。これは高等学校の現場での指導の課題である一方で、小学校・中学校の義務教育との縦のつながりも意識しながら進めていくことが必要であり、義務教育現場とのつながり(中高連携)も進めていく必要があるだろう。

以上の問題意識から、私は本校の理科授業の「近々の」課題として、

①生徒の学習意欲を刺激することを目指す授業展開の工夫および支援
②生徒の論理的な思考の育成を支援する学習活動の導入

の2点を設定した。まず、私が担当する物理で試行し、徐々に理科の他科目へと広げていく計画とした。課題へのアプローチの詳細については次節以降で触れることとする。

※全文はこちらからPDFにて閲覧いただけます。

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