山口県立防府商工高等学校 古本宏
イメージしにくい物理現象を具体的に体験できる装置の開発と利用方法の提示
Development of Equipments for High School Physics Class
第55回下中科学研究助成金取得者研究発表より
数式やグラフだけでなく、実際にモノを目で見ることが物理の学習には大切。実験を取り入れた授業を得意とするベテラン高校教師が機器類を改良し、使いやすくするための試行錯誤を丁寧に記録しました。等速直線運動や等加速度運動といった概念の理解に役立つ「エレベータ模型」や速度センサ、地震の揺れを再現させる起震機、さらには稲妻のような目に見える放電を行うテスラコイルまで……。
1 研究概要
今回の研究では、次のことについて実施したが、まだ時間をかけて継続したいものも残った。
(1) エレベータと似た運動を起こす実験装置の製作運動中の速度がリアルタイムで観察できるものを製作した。エレベータが停止状態から上の階に移動し、再び停止するまでの運動は、正の等加速度運動→等速運動→負の等加速度運動という組み合わせとみなすことができる。教科「物理基礎」で実際の例を見せながら、運動の向きと速度の正負、速度変化の向きと加速度の正負について学習することができる。
この模型は、物理の世界で「アトウッドの装置」と呼ばれているものと基本構造は同じである。左側の錘は人が乗るエレベータの箱に相当し、右側の3つの錘がエレベータに先程の3種類の運動を連続的に起こす様に各錘の質量を調整している。模型上部、ベルトに接して回る速度センサにより、エレベータの速度変化を授業中に見せることができるようになった。高校生にとって加速度は大変分かりにくいものだが、具体的な運動例を使って考えさせることで、より効率が高くなったと実感できた。
上部の構造は以下の通り。
(写真1)に全景を示した。たまたま不要の木製梯子2本があったので、この上部に垂木2本をレール状に渡してやぐらを作る。更にツーバイフォー(構造用木材)を両側に渡して井桁を組む。この井桁にベルトを架けるナイロン車と速度センサをのせた(写真2)。