「平和」という木に 「教育」という水を

「平和」という木に 「教育」という水を

群馬県立富岡高等学校 茂木孝浩

群馬県立富岡高等学校 茂木孝浩

薄膜干渉分野におけるチタンの陽極酸化の教材化

Anodized titanium

第58回下中科学研究助成金取得者研究発表より

<h1>薄膜干渉分野におけるチタンの陽極酸化の教材化</h1>

薄膜干渉の学習を目的とした研究は前例がなく、実験教材に取り上げられることはもとより学習時に紹介されることもほとんどない。この技術を教材化できれば、生徒は「薄膜なしの状態」から始め、膜厚が増加するごとに様々な干渉色を体験することができ、薄膜干渉を直感的に理解することが可能となる。


1.序論

理科の学習の基盤は観察・実験にあり、観察・実験を支える良い教材の開発は理科教育の発展と不可分の関係にある。今回は教材化を検討する分野に「薄膜による干渉(以下、薄膜干渉)」を選んだ。薄膜干渉は高校物理「光の回折と干渉」における代表的な事例の一つといえる。

薄膜干渉を学習するための実験教材というと、頻繁に取り上げられるのはやはりしゃぼん玉の観察だろう。しゃぼん玉の色付きが干渉による現象だと理解することは、観察の仕方を工夫すれば可能だと思われる。しかしながら、しゃぼんの膜厚dが不明な(測定困難かつ時間変化がある)ために、理論式2ndcosr=mλ(位相反転の影響がない場合の明線条件)の定量的な検証実験は難しいといわざるを得ない。

筆者は以前「干渉の条件式を満たす単層反射防止膜教材の開発」「光学薄膜教材の開発に関する研究」により反射防止膜を施した数種類の教材化に成功、各種研修会や研究大会などの折りに紹介し、周知と普及に努めてきた。反射防止膜教材は膜厚が一定不変なことから定量的な検証実験を行うことが可能な上、物理学の身近な応用事例と日本の光学技術の高さを実感させるという効果も期待できる。反面、これらの教材群は光学薄膜が事前に付加されている状態のために、「薄膜干渉の影響により反射光が少ない」のか「もともと反射光が少ない特別な教材」なのか、直感に訴える部分に課題もあった。

この問題の解決に向け、今回は「チタンの酸化膜」に注目した。純チタン表面の酸化膜は膜厚に応じた干渉色が現れやすく、加熱酸化や陽極酸化(水の電気分解)により膜厚をコントロールすることができる。この酸化処理技術は主にチタンの耐食性を高めることを目的に、同時に近年は多彩な色変化に注目した建材や装飾への応用を目的に盛んに研究が行われ、工業的にはある程度一般化した技術といえる。一方、薄膜干渉の学習を目的とした研究は前例がなく、実験教材に取り上げられることはもとより学習時に紹介されることもほとんどない。この技術を教材化できれば、生徒は「薄膜なしの状態」から始め、膜厚が増加するごとに様々な干渉色を体験することができ、薄膜干渉を直感的に理解することが可能となる。

特に陽極酸化による方法は化学分野の基礎知識(水の電気分解など)も必要なことから、昨今特にクローズアップされてきた科目横断的な学力観の育成にも効果を発揮する教材となり得る。本研究により最適な実験条件が明らかになれば、物理と化学のクロスカリキュラム授業を実施し、学習効果を吟味したい。


※全文はこちらからPDFにて閲覧いただけます。

パール下中記念館
ECアーカイブズ
百科事典情報基盤助成金
雅楽

下中科学研究助成金について

小学校・中学校・高等学校や教育センターなどの機関に属する教員や研究員が行っている「科学研究」を対象とした助成です。1963年の開始以来、すでに50年以上の実績があります。

最初に戻る
地球は全人類の共有

下中弥三郎のことば