「平和」という木に 「教育」という水を

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日本大学習志野高等学校 井上 みどり

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iPadを活用した高校化学における酸・塩基・塩に関する実験教材の開発 -㏗と電離度・電離定数・緩衝作用-

Acids, bases, and salts

第61回下中科学研究助成金取得者研究発表より

<h1>iPadを活用した高校化学における酸・塩基・塩に関する実験教材の開発 -㏗と電離度・電離定数・緩衝作用-</h1>

酸・塩基・塩に関する実験を系統的に区分し、全体を通して実施することにより、㏗、酸・塩基・塩の種類と液性との関係、電離度と電離定数、緩衝溶液の性質などを統一的に理解させる実験教材の開発を試みた。


1.背景

高校化学では、酸・塩基の単元における電離度・電離定数・加水分解定数の学習は問題演習が中心である。座学に偏らないで生徒実験で得られたデータから電離度・電離定数・加水分解定数を求め理解を深めさせたい。㏗は生徒の誰もが知っているが、授業時数や器具の関係で測定する機会は少ない。㏗の測定値は生徒が持つ溶液の液性に対するイメージと異なることが多いので実際に測定を行う意味がある。例えば、中和生成物の塩の水溶液が必ずしも㏗=7の中性でないことを授業で扱うが、生徒がそれを測定し塩の加水分解を確かめる機会はないので知識が定着しにくい。

そこで酸・塩基・塩に関する実験を系統的に区分し、全体を通して実施することにより、㏗、酸・塩基・塩の種類と液性との関係、電離度と電離定数、緩衝溶液の性質などを統一的に理解させる実験教材の開発を試みた。実験のテーマは3つからなり、➀は数種類の酸・塩基・塩の㏗を測定する。それぞれの濃度から㏗を計算し、実験結果との比較を行う。②は酸・塩基を使い㏗を測定し、電離度・電離定数をコンピュータの表計算ソフトで求める。③は緩衝液を使い、一定量の酸と塩基を加えて㏗を測定し、変化が少ないことすなわち、緩衝作用を確認する。これらの実験を連携して実施することで深い学びを得られると考える。

2.実験準備について

2-1 簡易㏗メーターの選択

簡易㏗メーターの価格には7,000円~45,000円と大きな幅がある。測定のための試料量は 0.1mL程度で可能なものもある。分解能は0.01㏗または0.1㏗である。測定範囲は機種により異なり、広いものでは㏗0~14まで測定可能である。3点校正・2点校正または1点校正で使用可能である。簡易㏗メーターの電極はガラス製のものが多いが、シリコン製のもの(シリコンチップISFET)もあり、後者のほうが耐久性に優れている。センサーの大きさも異なり試験管に入るもの、ビーカーにある程度まとまった量の溶液を入れる必要のあるもの、センサー部分に微量を滴下するものなどいろいろなタイプがあるため、実験の目的に合わせて選択する必要がある。㏗測定が確定するまでの時間も機種により異なる。

※全文はこちらからPDFにて閲覧いただけます。

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