第3回「表彰事業」優秀賞『天文研究の指導を通した科学技術人材の育成』 | 下中記念財団

「平和」という木に 「教育」という水を

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宮崎県立宮崎北高等学校 河野健太

宮崎県立宮崎北高等学校 河野健太

第3回「表彰事業」優秀賞『天文研究の指導を通した科学技術人材の育成』

Astronomical research

第3回「表彰事業」受賞者研究論文より

<h1>第3回「表彰事業」優秀賞『天文研究の指導を通した科学技術人材の育成』</h1>

天文学の研究は教科横断的な学びにも非常に有用である。天体の運動を扱うのはニュートン力学であり、天体から届く多波長の光は電磁波の知識を要する。得られた各数値の計算には数学と物理の知識を必要とする。


1.研究背景

(1)高校における天文教育の現状

文部科学省による平成27年度公立高等学校における教育課程の構成・実施状況調査によれば、「地学基礎・地学」ともに全国的に開講状況が少ない状況にある。これは一概にはいえないが、地学専門の教員または地学を指導できる教員が極めて少ない状況を反映している。専門学科の1年生に多く採用されている「科学と人間生活」は物理・化学・生物・地学の4分野を扱うが、それぞれの分野で内容を選択できる。地学分野は「気象・天文」と「地質」から選ぶ場合が多く、宮崎県の場合は東日本大震災の経験や、南海トラフ大地震に備えての影響もあり、地質分野を選択する教員が多い。

以上のことから、高等学校において天文学を扱う場面は少ない。にもかかわらず、多くの学校には指導者が不在のまま高価な天体望遠鏡が設置されている。地学振興のために購入され、そのまま使われなかったものである。宮崎県内だけでも筆者が赴任した3校の他、普通科進学校や特別支援学校でも天体望遠鏡等を確認している。

高等学校での天文研究の大きな利点は、これらの既存施設を有効活用しながら、天文学の課題に挑戦できることである。近年の科学トピックでも重力波の発見、M87銀河のブラックホール撮影成功、はやぶさ2による小惑星リュウグウからのサンプルリターン成功など天文学に関わる研究は盛り上がりを見せており、興味を持つ生徒も多い。天文学の研究はアマチュアの観測に支えられる分野も多く、高校生でも十分に天文研究に貢献できる。

また、天文学の研究は教科横断的な学びにも非常に有用である。天体の運動を扱うのはニュートン力学であり、天体から届く多波長の光は電磁波の知識を要する。得られた各数値の計算には数学と物理の知識を必要とする。星座を巡る惑星の動きなどは「地球から見た宇宙」の視点であり、万有引力よる天体の軌道計算などは「宇宙から見た地球」の視点である。現象を異なる立場で考察し、複眼的思考力を身につけられるのも天文学研究の利点である。

※全文はこちらからPDFにて閲覧いただけます。

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