「平和」という木に 「教育」という水を

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兵庫県立洲本高等学校 谷川智康

兵庫県立洲本高等学校 谷川智康

第3回「表彰事業」最優秀賞『食品に含まれる糖を用いたハイブリッドロケット燃料の開発』

Hybrid rocket fuel

第3回「表彰事業」受賞者研究論文より

<h1>第3回「表彰事業」最優秀賞『食品に含まれる糖を用いたハイブリッドロケット燃料の開発』</h1>

科学技術部は物理分野の研究テーマを中心に行ってきた。5年前に私が着任した当時は5名の男子部員が在籍していたが、決まった研究テーマもなく活動は停滞していた。顧問として私は生徒に科学研究の楽しさをぜひ味わってほしいと思った。


1. 研究の背景と目的

1-1.洲本高校

洲本高校は1897年(明治30年)に旧制洲本中学として設置され、創立125年目を迎える兵庫県下屈指の伝統校である。「至誠、勤勉、自治、親和」が校訓である。制服が自由化されていたり、校則を必要最小限のものにとどめ制定していたりと自由な校風と昭和28年センバツ高校野球で優勝した野球部を中心に部活動が大変盛んで文武両道が特徴である。進学においても毎60名前後の生徒が国公立大学に合格しており、卒業生の大多数が大学に進学する。

1-2.自己紹介

私は小学1年生の時に見た、アポロ11号の月面着陸をきっかけに宇宙に興味を抱くようになった。大学では数学を専攻し高校の数学教員となるが、宇宙への夢絶ち難く、1992年4月、30歳の時に、夜間定時制高校に勤務する傍ら神戸大学大学院に入学し惑星間塵の研究に打ち込んだ。大学院修了後も自分の研究を続け学会発表や論文の執筆に勤しんだ。研究を続ける中で、世界で誰よりも早く科学的な事実を知ることが、研究の醍醐味であると強く実感するようになった。そこで、ぜひ生徒にも、この研究の魅力・楽しさを伝えたい、と考えるようになり、2000年頃より天文普及活動に精力的に取り組みはじめた。時系列で列記すると2001年より有馬高校科学部で8年間、2009年より三田祥雲館高校天文部で9年間、そして洲本高校科学技術部の顧問を2018年より5年間務めている。有馬高校と洲本高校では、活動が停滞していたクラブを宇宙への興味を引き出すことで、部活動を大いに活性化させ部員を増やし再興した。有馬高校で私が指導し、流星塵を研究した一人の女子生徒は、現在、宇宙研究開発機構(JAXA)研究員となり小惑星探査機「はやぶさ」、「はやぶさ 2」計画に携わっている。また三田祥雲館高校では天文部を創設し、小惑星の自転周期や太陽活動の観測とそのデータベースを活用した研究により、世界の研究者に向け研究成果を発信した。また、国際学会 The Asteroids, Comets, Meteors conference(ACM)2012に出場したことを記念して学校名がついた小惑星(15552)Sandashounkanが誕生したり、2017年度全国高等学校総合文化祭で最優秀賞を受賞したりするなど学校の活性化にも大いに貢献した。現在、勤務する洲本高校では、科学技術部でモデルロケットをテーマに設定し、部活動を大いに活性化し、本原稿の中心となるハイブリッドロケットの研究を始めた。校務分掌は現在、1学年主任を務めている。数学の教科指導においては反転学習を取り入れるなどし、校内でICTを用いた授業改革およびアクティブラーニングの分野において先駆的な役割を果たしてきた。

1-3 科学技術部について

洲本高校には以前、物理部、化学部、生物部、地学部と理科系の4つのクラブが存在していたが、生徒減少によるクラブの再編により科学技術部と自然科学部の2つの部活動にまとめられた。科学技術部は物理分野の研究テーマを中心に行ってきた。5年前に私が着任した当時は5名の男子部員が在籍していたが、決まった研究テーマもなく活動は停滞していた。顧問として私は生徒に科学研究の楽しさをぜひ味わってほしいと思った。“天文”をテーマに持ち込みたい気持ちもあったが、押しつけにならぬよう在籍する部員の気持ちを大切にしようと話し合いをもった。生徒が提案するものと、私が指導できる範囲を考慮し、天体望遠鏡作り、電波望遠鏡の作成と天体観測などが候補に上がった。天体が研究対象ではなくても宇宙は根強く生徒たちの興味を引く舞台であることを実感した。最終的には“宇宙風船”で有名な岩谷圭介さんの取り組みなどを参考に自作ロケットを高く飛ばし、上空から地上の景色を写真に撮ろう、ということになりロケットの研究がスタートした。

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